エネルギーの豆知識

SDGs(エスディージーズ)の目標13「気候変動に具体的な対策をわかりやすく解説します

こんにちは、エネカリオンライン編集長の内藤です。

前回のSDGs(エスディージーズ)目標7に引き続き、今回は目標13「気候変動に具体的な対策を」についての解説をしていきたいと思います。
・SDGsってなに?という方はこちら
・目標7の解説についてはこちら
の記事を参照してください。

1.地球温暖化が引き起こす気候変動問題

グリーンランド氷床の雪解け水
businessinsider

SDGsでいう「気候変動」というのは、いわゆる「地球温暖化」などの環境問題が引き起こす海面水位の上昇や、天候の変化、異常気象などのことを指しています。

地球温暖化との関わりで分かりやすい気候変動問題は海面水位の上昇です。これは、地球全体が温められて温度が上昇することで、南極大陸やグリーンランド(イギリスの北西の大陸)など、地表の上にある氷が溶けて海に流出し、海の水位が上昇するという問題です。

海面の上昇で困るのは、海抜が低い場所に家を持ち生活をしている方々です。今まで住んでいた場所が海水になってしまえば、これまで通り住むことはできなくなり、別の場所に移動しなければなりません。それにより、家や土地などの財産を失うことも考えられますし、台風による高潮や、津波の影響を受ける範囲も広がる可能性がありますので、災害時の影響も大きくなります。

2.異常気象による自然災害と停電

また、気候変動による問題で、今一番日本に影響のあるものの一つは、ここ数年増加している台風や豪雨などの自然災害による異常気象ではないでしょうか。皆さんもニュースなどで、台風や豪雨などによる災害を目にすることも多くなり、他人事では無いと感じる機会も増えてきたのではないかと思います。2019年の令和元年東日本台風(台風19号)では、関東圏を中心に河川の氾濫や家屋の倒壊など大規模な被害が発生し、多くの被災者を出す災害となりました。特に、東京を流れる多摩川や、長野の千曲川の決壊により、広範囲で住宅やマンションが浸水し死者や大規模な被害は発生しました。そして、長野県の新幹線車両基地では浸水が発生し、新幹線が茶色く濁った水に浸かっている衝撃的な映像が流れました。

The Hokuriku-Shinkansen line trains were parked in a yard in Nagano city
REUTERS

台風や豪雨などの自然災害は、直接的な被害だけでなく二次的な災害として停電が発生することがあります。これは、木や家屋の倒壊で電線が切断されるなどし、電気が行き渡らなくなり発生するものです。

このような二次災害の停電は、復旧するために通常よりも長い時間を要します。切断された電線をつなぎ直すだけであれば、そこまで長期間の停電にはなりませんが、倒木した樹木や飛来した屋根などが電線に引っかかってしまうと、それらの障害物を取り除き、その後に電線の復旧工事を行います。こういった場合は、電気工事を行う業者だけではなく、複数の工事業者が関わることになるので、作業工程や工事日程の調整などもあり復旧に時間がかかってしまいます。

3.自然災害に対するレジリエンスとは

「気候変動に具体的な対策を」の気候変動や災害などについての重要性を、少しは理解いただけましたでしょうか。それでは、SDGsで定めている目標13の具体的なターゲットを見ていきたいと思います。

13.1 すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス) 及び適応力を強化する。 
13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。
13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び 制度機能を改善する。
13.a 重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズ に対応するため、2020 年までにあらゆる供給源から年間 1,000 億ドルを共同で動員 するという、UNFCCC の先進締約国によるコミットメントを実施し、可能な限り速や かに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。 
13.b 後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や青年、地方及び社会的に疎 外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策 定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する

見ていただくと分かりますが、この目標13のターゲットで具体的な表現は13.1しかありません。その他は非常に抽象的な表現になっています。(前回のコラムで紹介した目標7と比較して見てください。)

なぜこのような表現になっているのかは、気候変動問題の規模の大きさにあります。これは、気候変動問題の対処について、2つの視点に分けて見ていくと分かりやすいです。

① 気候変動による、災害や生活への影響を防止すること
② 発生した災害や、生活への影響を最小限に抑えること

病気に例えると分かりやすいのですが①は予防、②は治療と考えることができます。

①の気候変動の予防については、地球レベルで考える必要があります。気候変動を予防するための主たる問題は、地球温暖化問題です。地球温暖化問題については、各国でSDGsとは別の国際的な枠組みとなる「パリ協定」で各国でそれぞれが目標を設定する事になっていますので、SDGsでは13.2や13.3のような、抽象的な表現になっていると考えられます。

②の発生した災害や、生活への影響を最小限に抑えるという、いわゆる治療の部分ですが、ここは13.1で定めています。ここで重要なキーワードは「レジリエンス(resilience)です。

レジリエンスというのは、ここでは強靭性と訳されていますが「弾力性」や「回復力」と訳される事もあります。強靭性というのは「強くてしなやか」という意味です。つまり、気候関連災害や自然災害が発生してしまった場合に、被害を最小限に抑えることや、そこから災害前の生活や経済活動の水準に復旧するように、災害に耐えれる国を作るという事です。

気候関連災害に対する強靭性と言われても、何をイメージすれば良いか難しいのですが、分かりやすいものとしては、大雨や洪水などの気候災害があります。大雨や洪水による災害の一つとして、堤防の決壊などが考えられます。堤防を決壊させない為に、災害時の水位を予測して、治水計画を立てて工事などの事前対策をすることや、予測を上回る被害が発生しそうになった場合に、被災者を避難させるなどのルールを決めておき、被害を最小限に抑える事もレジリエンスといえるでしょう。

令和元年東日本台風
千曲川での堤防決壊後の写真(国土交通省)

また、災害前の生活水準にいち早く戻す為の保険サービスなども重要な社会のインフラですのでレジリエンスの一つとなりえます。

4.停電とレジリエンス

私たちのような、エネルギーサービスを提供している事業者にとって、レジリエンスに対する一番の問題は「停電」と言えます。ここ数年、日本では地震や台風、大雨などによる災害の影響で、発電所の停止や電線の損傷などによる停電が発生しています。停電が発生すると、これまでのような生活ができなくなってしまうのはもちろん、真夏であればエアコンが使えなくなり、熱中症などによる健康への影響も発生し、状況によっては命に関わる問題となりえます。

電気を届けている送配電事業者は、停電からの早期復旧の為に、被害状況を素早く把握するためのドローンによる送配電線の撮影や、発電が可能な電源車の早期配備の体制、国や自治体、その他企業などとの協力体制の構築などを進めています。このようなレジリエンス対応は、企業が中心となって実施をしていますが、個人で行える対策として太陽光発電パネルや蓄電池の設置という選択肢もあります。

現に、私のようなエネルギーや住宅設備に関わる業界の中にいると、2019年の令和元年東日本台風(台風19号)で停電により電気が使えないエリアの中でも、太陽光パネルと蓄電池を設置していた家庭では、電気を使うことができたという話を聞くことが有りました。

停電に対するレジリエンスは、国や自治体、企業、個人にも深く関係する大きな問題ですので、これを機に皆さまにも考えていただければと思います

まとめ

SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」について少しは理解を深めていただくことができたでしょうか。気候変動の関する問題は私たちの生活に深く関わってくる問題ですので、みなさんも興味があれば調べてみてください。

参考
国際開発センター:http://www.idcj.jp/sdgs/libraries/

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